2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「かつて」を「かって」に書くのは間違い?! 

(第25号、通巻45号) 社会人になって間もない頃、「過去のある時、昔、以前」という意味のつもりで原稿に「かって」と書いたところ、上司に「はなし言葉ではともかく、文章で表現する時は『かつて』とするものだ」と注意された。「つ」を小さな「っ」とする…

名訳と迷訳、その“様々なる意匠”

(第24号、通巻44号) 一見簡単な短い英文なのに、まったく意味をつかめないことがしばしばある。誤訳以前の話だ。5月下旬に出版されたばかりの『英文の読み方』(行方昭夫著、岩波新書)に、かつて私がお手上げしたのと同じ英文が偶然取り上げられている。…

“free”はいつも「自由」とは限らない

(第23号、通巻43号) “free”をカタカナ書きにすれば「フリー」。「自由」という意味で日本語化している易しい英単語の一つだが、そこに落とし穴がある。 『日本語ぽこりぽこり』(アーサー・ビナード著、小学館)という風変わりな題のエッセイ集に、リチャ…

誤訳の悲喜劇 

(第22号、通巻42号) 旧制一高生・藤村操の“哲学的自殺”は、誤訳が生んだ悲劇と言えなくもないが、『私の翻訳談義』(鈴木主税著、朝日文庫)によれば、明治時代、英語の誤訳を指摘されたのを恥じて自殺した翻訳の大家がいる、という。 問題の英語は、“a li…