2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「暮れなずむ」と「つるべ落とし」

(第121号、通巻141号) 4月ももう終わりだが、日の暮れるのがずいぶん長くなった感じがする。ほんの2カ月ほど前までは、仕事を終えて勤め先を出る時には外はもう暗くなっていたものだが、今は、6時を過ぎてもまだ明るい。夕日が沈んだ後もしばらくは暮れ…

「藤」の字解きは?「巳」「已」「己」はどう区別するか。

(第120号、通巻140号) 冒険家の植村直己(なおみ)さんがアラスカのマッキンリーで消息を経ってから已(すで)に四半世紀。国民栄誉賞を受賞したのは25年前の4月19日である。「直己」の「己」はふつう「おのれ」といい、「み」とは読まないが、ご本人は「…

「よみする」嘉(カ)の意味と用法

(第119号、通巻139号) 今月10日に結婚50年を迎えられた天皇、皇后両陛下の記者会見。映像・音声入りのTVニュースは見られなかったが、新聞各紙が伝えた一問一答形式の会見の詳報は目を通した。その中で「言語楼」としての私が興味をひかれたのは天皇の次の…

「世間ずれ」した人同士だと話も「なし崩し」に「煮詰まる」?

(第118号、通巻138号) 「煮詰まる」という言い方がある。元々の意味は、「煮えて(鍋など容器の中の)汁・水分がなくなる」ことだ。「汁が煮詰まったところで火を止める」などと使われる。その原義が比喩的に転用され、「会議、交渉、話し合いなどで議論が…

「他山の石」の誤用〜正用の濃淡

(第117号、通巻137号) 「他山の石」という成句ほど様々な意味、ニュアンスで用いられている言葉はそれほど多くないのではあるまいか。と、思ったのは、『私の語誌 1〈他山の石〉』(三省堂)を読み直したのがきっかけだ。この本の編著者は、個性的な語釈…