2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「汚名挽回」と「汚名返上」

(第293号、通巻313号) 先週のブログの末尾で予告したように今回は、「雪辱を晴らす」「雪辱を果たす」と似た用法の「汚名挽回」「汚名返上」を取り上げる。この2語のうち正しいのはもちろん2番目の「汚名返上」であり、「汚名挽回」は典型的な間違い・誤…

「雪辱を晴らす」は重言、正しくは「雪辱を果たす」

(第292号、通巻312号) ロンドン五輪後の余熱も、先日行われたメダリストたちの銀座パレードで一段落した感じだが、五輪に限らずスポーツや選挙など勝ち負けに関係する世界では「雪辱」という言葉がしばしば登場する。「北京五輪の雪辱を目指し、猛練習して…

辞書も追認「鳥肌が立つ」の新用法

(第291号、通巻311号) メダルラッシュに湧いたロンドン五輪が閉幕した。14日付けの朝日新聞の1面コラム、天声人語は「日本選手団のメダルは過去最多の38個。これにて彼らは重圧から、我らは寝不足から解放される」と書いた。まことに言い得て妙だ。 テレビ…

「馬鹿言うな」「馬鹿言え」否定形と肯定形

(第290号、通巻310号) 先週扱った「何気に」の同類の言葉に「さりげに」がある。本来なら「さりげない(く)」と言うべき言葉だ。漢字で書くと「然り気無い」。『明鏡国語辞典 第2版』(大修館書店)には「はっきりした考えや深い意図もなくふるまうさま…

「なにげに」気づいた「なにげない」新語法

(第289号、通巻309号) なにげなく(何気無く)テレビのスイッチを入れたら、ロンドン五輪の女子柔道57キロ級で松本薫選手が日本初の金メダルを取った場面だった――この文章の冒頭の「何気無く」の「無」を省いて「なにげ(何気)に」とした場合、少々違和感…