2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「よりハヤく」。音楽家の言葉

(第86号、通巻106号) 北京オリンピックが終わった。「より速く、より高く、より強く」。このオリンピックの標語のうち「速く」にからめて、前号で題材に借りた指揮者・岩城宏之の『指揮のおけいこ』(文春文庫)の一部を再び取りあげてみたい。 同書には言…

褒め言葉、感動表現がいつも「すごい!」とは

(第85号、通巻105号) 定年後の「第二の職場」で先輩の1人が、新聞の読者欄のある投稿記事《注1》をコピーに取りながら「近頃の人の語感はどうなっているのか」と嘆いていた。コピーしていたのは「『すごい』って 言い過ぎでは」という見出しのついた一文…

「悪びれる」様子もなく

(第84号、通巻104号) 正統的な意味からすると、間違った用い方をしているのに、文脈上はそれなりに通じる言葉がある。例えば「悪びれない」という語。 犯罪報道の記事などで「容疑者は、大勢のやじうまの見守る中、悪びれた様子もなく警察署に連行された」…

「閑話休題」。さて、ところで…

(第83号、通巻103号) 本来の意味と逆に取られることの多い慣用句として「情けは人の為ならず」とか「流れに棹さす」、「気が置けない」などがしばしば例に挙げられるが、「閑話休題」も誤用されているとは思いもよらなかった。 この言葉は、文章や講演など…