2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

友の死に天も「慟哭」

(第245号、通巻265号) 今月7日付けの当ブログで「野分」の読み方を取り上げた。その中で作家の井上靖が自作の散文詩を解説した際、「野分」を「いわば季節の慟哭(どうこく)とでも名付くべき風」と表現している、と紹介した。 そう書いた2週間後の21日…

4通りもある「人気」の読み方と意味の違い

(第244号、通巻264号) 文中に「人気」という2文字を目にしたらごく自然に「にんき」と読む。ただ、文脈によっては「人気のない境内」などのように「ひとけ」と読む場合もある。しかし、「じんき」という読み方までは思い至らなかった。 昭和半ばころの、…

「誠心誠意」ではなくあえて「正心誠意」が野田流?

(第243号、通巻263号) 野田首相は13日午後、就任後初の所信表明演説を行った。各紙の夕刊に演説要旨が予定稿で掲載されていたが、夜7時のNHKのテレビニュースで改めて所信表明の場面を見て「オヤッ、字が違う」と思った。政権運営の姿勢として首相が「…

「野分」の読み方と意味

(第242号、通巻262号) 前回取り上げた「ゆきあいの空」は秋の季語にはなっていないようだが、「野分」は代表的な秋の季語である。この語を私が知ったのは、たぶん夏目漱石の小説の題名『野分』からだったと思うが、明確に意識したのは高田三郎作曲の男声合…