2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「ゆきあいの空」

(第241号、通巻261号) 8月から9月へ。季節が移り変わろうとするころになると、その兆しは空の雲にもあらわれる。2週間ほど前の朝日新聞のコラム「天声人語」の一節に「雨のあと、高い天に刷(は)いたような雲が浮けば、夏と秋がすれ違う『ゆきあいの空…

「お袋の味」の「袋」とは

(第240号、通巻260号) 東日本大地震で家族の絆が見直されたせいか、今年のお盆は例年より帰省客が多かったという。久しぶりの故郷で「お袋の味」に舌鼓をうった人もまた多かったに違いない。ベストセラー『日本人の英語』(岩波新書)の著者、マーク・ピー…

「怒り心頭に発する」か「達する」か

(第239号、通巻259号) 東日本大震災の被災地・岩手県陸前高田市の松を薪にして京都の伝統行事「五山送り火」で燃やす計画が二転三転の末、京都市側が「薪から放射性物質が検出された」と受け入れ拒否を決めたことをめぐって陸前高田市側は「岩手が危ないと…

「魂柱」のない内閣

(第238号、通巻258号) 「たましい」に「はしら」、「魂柱」と書いて「こんちゅう」と読む。この言葉を知ったのは、7日に放映されたテレビ朝日の『題名のない音楽会』を通じてだ。司会はいつもの佐渡裕。今をときめく名指揮者の解説とゲストとのトークをま…

「蛍の光」の原曲は別れの歌ではない

(第237号、通巻257号) かつては「仰げば尊し」と並んで卒業式の定番だった「蛍の光」は、一般にはスコットランド民謡とされる《注1》。本場・英国エディンバラの聖メアリー大聖堂音楽隊が歌う「蛍の光」を先日初めて聴いた《注2》。東京は六本木のサント…